私立幼稚園に分類される102条園とは？学校法人立との違い。

2020年05月28日

私立幼稚園の中には学校法人立園と102条園の２種類がある、ということを他のコラムや就活ページで取り上げてきました。そこで「102条園ってなに？」と思った方も多いと思います。

幼稚園や認定こども園に関する新制度が発表される際には、必ずといっていいほど内閣府や文部科学省の資料の中に名称がでてくる102条園。知らなくても働く上で困ることはありませんが、自分が働くかもしれない幼稚園にも該当する可能性のある、この「102条園」について取り上げていきたいと思います。

そもそも102条園とは、どういう園なのか？

102条とは、旧学校教育法の102条を指しています。
現在は学校教育法附則6条になっているため「附則6条園」と呼ばれることもあります。

では、学校教育法の幼稚園に関する条文をみていきましょう。

学校は、国（国立大学法人法（平成十五年法律第百十二号）第二条第一項に規定する国立大学法人及び独立行政法人国立高等専門学校機構を含む。以下同じ。）、地方公共団体（地方独立行政法人法（平成十五年法律第百十八号）第六十八条第一項に規定する公立大学法人（以下「公立大学法人」という。）を含む。次項及び第百二十七条において同じ。）及び私立学校法（昭和二十四年法律第二百七十号）第三条に規定する学校法人（以下「学校法人」という。）のみが、これを設置することができる。

○２　この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう。

この法律で、国立学校とは、国の設置する学校を、公立学校とは、地方公共団体の設置する学校を、私立学校とは、学校法人の設置する学校をいう。

引用：学校教育法　第一章総則（第二条）より

私立の幼稚園は、第二条第一項の規定にかかわらず、当分の間、学校法人によつて設置されることを要しない。

引用：学校教育法　附則（第六条）より

出典：e-Govウェブサイト（https://www.e-gov.go.jp）

条文のみを見ていくと少し難しく思えますが、要するに私立幼稚園は原則学校法人のみ設置を許されているが、学校法人には該当しない幼稚園も附則条項の第六条により、公に例外として認められいるということです。
それらの例外に該当する幼稚園が「102条園（附則6条園）」と呼ばれているのですね。

学校教育法が制定された当時、長くから幼児教育に携わってきた個人立や宗教立等の幼稚園の中には、様々な理由から学校法人の基準に満たない幼稚園もあり、そのような園が102条園として現在まで続いているのです。

102条園の中には、どんな幼稚園があるの？

102条園のほとんどは、宗教立幼稚園と、個人立幼稚園です。この他では、農協立幼稚園・個人立幼稚園・社会法人立幼稚園等がありますが現在合わせて6園のみです。（令和元年度文部科学省学校基本調査より）
例えば、宗教法人立幼稚園は教会が建てた幼稚園などがあり、個人立幼稚園は退職した先生が個人で幼稚園を開設したもの、地域から求められて開設したものなどがあげられます。

参考：私立幼稚園？国公立幼稚園？幼稚園の分類解説！

全日本私立幼稚園連合の調査（H18)によると、学校法人化しない理由について

宗教立幼稚園では「教育理念の継承のため」「責任役員や信者の賛同が得られないため」という理由が多く上がっています。

個人立幼稚園では「保育・幼稚園制度の改変から現行幼稚園制度の継続に不安がある」「少子化の影響で幼稚園の永続性と安定性が続くか不安がある」という理由が多く挙げられています。

102条園は、長い間、幼稚園制度の「例外」という立場で存続してきました。国は学校法人化を推奨しており、102条園は学校法人と都道府県からの助成金に大きく差があるなど、厳しい現状があります。